【ADHD】突発的な行動・喧嘩の際の対応とは。 

学校の先生から相談がありました。

小学校3年生男子。机の上に出している筆箱や教科書ノート資料集などは毎時間何度も床に落ちる。
教室の中を立ち歩いているだけならまだしも、廊下へ飛び出して行く。喧嘩になったとき、まず手が出てから、謝る。そのような児童にどのように対応したらよいか、と言うものでした。

そのような時、先生はどのように対応していますか?と質問をすると、放っているか、叱ってしまうとの事でした。

他の子と違うところに目がいって「他の子と一緒に」と考えてしまうんですよね?と話をすると、その通りです、とおっしゃっていました。学校は集団生活の場ですから、ごく自然のことです。しかし、それと同時に多様性の大切さも言われる時代。わかっていてもできないからこの先生は悩んでおられました。

そこで次のようにお伝えしました。

まず文房具ですが、落ちていたら拾ってあげれば良いのではないでしょうか。今のところは、落としたとしたら、その子が拾うまでそのままにしておく、もしくは早く拾いなさいという指導をします。これはこれで対応の1つです。でもそれで改善しないのであれば、他の方法をとったほうが合理的かもしれません。例としては、何も言わずに拾ってあげる、といったことです。
そのような場合、どうしても心が穏やかではなくなってしまう場合もあります。なんでまた落とすんだ、と言うふうにです。これは過去の自分自身や周りの友達と比較しているからです。そうではなく、例えば1日100回落とすものだと言うふうに考えておいて、今日は80回で済んだと考えればどうでしょうか。ほんの少しの気持ちの差ですが、そうしたことが心穏やかに指導していくときの基本的な考え方となります。

場所を変えるということも考えられます。その子はものを落としてしまうという事は手の動きと比べて、机が狭すぎるのかもしれません。今は机を拡張するツールがあります。そうしたものをつけてあげたり、給食内でもやっていいよと言ってみたりすると、もしかしたらその方がうまくいくかもしれません。

いずれにしても自分自身でどうにもならなくて、モノを落としてしまっているということかと思います。それに対してダメだと言うのではなく、どのようにしたら改善するのかと言う方向で考えてあげると良いかと思います。

こうした事は別のことでも活きてきます。

例えば喧嘩です。謝っているということは、自分でもコントロールできない状態で叩いてしまっているケースが考えられます。先程の筆記用具のような対応で自分自身のことをよく見てくれている、この先生を信頼できると感じてもらえたら、それが間接的に喧嘩が減るということにつながっていくかもしれません。

「かもしれません」と言うのは、それで全てが解決するわけではないからです。しかし、経験上、そうした信頼関係を築いていくことによって、喧嘩や叩くといった行為は数値的に減っていきます。

昨日を5回叩いていたが、今日は4回であれば1回減ったじゃないか!すごい!と伝えることができるわけです。それが次の信頼につながり、本人が踏みとどまる一助になります。

感情に流されるのではなく、行動で何をしたらいいのかを考える。こういうことが合理的配慮の一つかと思います。

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