困ってないけど怒られる

小学校4年生。
ある子の授業風景です。

 

机の周りの床には、鉛筆、下敷き、消しゴム、ノート。
机の上には教科書とほぼからっぽの筆箱だけ。
あれも、これも、それも落ちています。

 

ADHDの診断を受けているお子さん。

 

驚くほど拾わないのです。
何でだろうと思ってみていると、使う時になったら拾って机の上で使っています。

 

それから一週間くらい、色々な対応をしながらチェックしました。

 

使わない時に拾って、机に載せてあげます。
すぐ落ちます。
わざとではありません。
肘や腕が当たって落ちています。

 

使う時に拾って渡してみます。
授業でちゃんと使います。
落としません。

 

放っておいてみました。
使う時に自分で拾っています。

 

授業が終わると、床中に散らばっていた様々なものを、足で机の下に入れます。
床です。
散らばり防止のためでしょうか。
でも、これは中間休みや昼休みの長い休み時間の時にはしないことも多いです。
そのまま遊びに行きます。

 

私が机に載せる時には、叱りも、怒りもせず、机の端にそっと置いていました。
初めはビクッとしていましたが、3日もしないうちに当たり前のように受け入れました。

 

もしかしたら机の延長で床を使ってるのかもしれません。

 

何となく情報が集まってきたところで、本人に聞いてみます。
教科書を拾いながら。
「床にモノ落ちているじゃん。困ってる?」
「困ってない」
「だよなー」

 

別の機会にも聞いてみた。
「散らかしてて困ることある?」
「怒られること」
「ん?なんで怒られるん?」
「お母さんはなくすから。先生は散らかすから。」
周りの子が突っ込む。
「先生、怒ってないじゃん」
「先生が◯◯君の(落とし物を)めっちゃ拾ってるよ!」
「先生、拾うの趣味だって言ってたよ!」

 

こういう時に怒っても建設的じゃありません。
マイナスの方が大きいです。
一旦受け入れちゃいます。

 

それにしても…机の延長で使っていたら、そりゃ困らない。

 

ゴールは「必要なものを必要な時に出して使うこと」とか「片付けること」だとしても、いきなりそれはできません。
そもそも、そのゴール設定は大人の都合で決めたこと。
本当に正しいかどうかもわかりません。

 

現状を見て、そこからどうやって進めていくのかを少しずつ組み立てた方がうまくいきやすいです。

 

彼の机周り。
今はどんな風になったのかなぁとふと思いました。

関連記事一覧