肥満の子について/食事でできる工夫と体幹

肥満の子について/食事でできる工夫と体幹

 

「K’s club サロン」は、発達外来クリニック医院長・小児科医である河野政樹ドクターと特別支援教育のスペシャリストである小野隆行先生によるQ&Aが発信されるオンラインサロンです。
サロン内では皆さんからドクターに質問することも可能です。
本ページでは、K’s club サロンでの質問と回答を一部紹介します。

今回の質問は、下記のものです。

特別支援学校小学部4年男児
身長155センチで体重が現在90キロ弱です。入学当時は50キロでした。一年時に医師に痩せなさいと言われ、親子で入院するもうまくいかず。その後も体重は増え続け、現在に至ります。
子どもであっても、今後病気を誘発させる要因になってしまうのではないかと心配なのですが、学校からもあまり母親に強く言えていない状況です。何かよいアプローチ方法はありますか?

□河野ドクター

小学校4年生の男の子で身長155センチで体重90キロは高度肥満に当たります。入学当時も50キロあったということで、もともとたくさん食べる傾向にあったと思われます。この子自身がまずは食欲をコントロールできないような発達の課題を持っているのかどうかということがまず一つの問題かと思われます。

プラダーウィリー症候群ですと、食事の量をコントロールすること自体が難しいです。親御さんも御苦労されているのではないかと思いますが、例えば「スナック菓子をたくさん食べる」というような行動を何に変えていくかが、キーになります。

ご飯をお茶碗で食べると、噛まずに飲み込みます。「食べ物を食べるな」ができないのであれば、何にするか。例えば100均などに売っている俵むすびを作る道具で、ご飯一膳程度を押し並べていくと、およそ12個できます。その中に、いりこのような噛まなければいけないものを入れる。そこにさらに海苔を巻くと、よく噛むし、食べる時間もかかります。またはスナック菓子をやめてお煎餅にしたり。噛まなければならない環境を作り、口の中でどんどん溶けていくようなものは控えた方がよいです。

またお芋でも、じゃがいもとさつまいもでは、血糖値の上がり方が違います。ジャガイモ系のポテトチップスなどはやめ、代わりに芋けんぴやさつまチップスにするといったことでも違いが出てきます。

もう一つ、飲み物も肥満に関係あります。

以前診ていたケースで、肥満のある子に「飲み物、何を飲んでいますか」と聞いたところ、「牛乳を水がわり飲んでいる」と言っていました。牛乳は高脂肪食ですので、控えた方がよい飲み物です。牛乳は体にいいし、ヘルシーと思って、1日に2Lも3Lも飲んでいる子でした。それが肥満のもとなので、そういうことはやめましょう。それからジュース類は、野菜ジュースなどの果物果汁であってもカロリーが高いため控えて、お茶やお水、炭酸水などに変えるだけでも随分違います。

また肥満の子は、体幹がかなり弱いです。寝転がってばかりの子が多いからです。これは基礎代謝を下げます。学校でできる取り組みとしては、その子が座って地面に足がつくぐらいの大きさのバランスボールを用意します。それに座りながらお勉強したり、本を読んだりとすることで自然と体幹を鍛えることができるのでお勧めします。

〈ドクター〉

河野政樹(虹の子どもクリニック院長)

〈引用〉
K’s club サロン
K’s club サロン:発達障がい関連グッズ


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