求めすぎ?◯歳にできること

「K’s club サロン」は、発達外来クリニック医院長・小児科医である河野政樹ドクターと特別支援教育のスペシャリストである小野隆行先生によるQ&Aが発信されるオンラインサロンです。
サロン内では皆さんからドクターに質問することも可能です。
本ページでは、K’s club サロンでの質問と回答を一部紹介します。

今回の質問の概要は次のようなものです。

学校の先生からの相談

小学校1年生、男子。
・新版K式発達検査で発達年齢が4歳という結果。
・平仮名はまだ読めない。筆順はバラバラだが、写して文字を書くことができる。
・数を数えられる。
・発達障がいの診断は出ていないが、衝動性や集中力の欠如などADHD的な症状が見られる。

【よいところ】
・平仮名の書き順がバラバラだったり、一画で書くところを分けて書いたりするが、自体は保てている。
・あいさつやお礼が言える。

【課題】
・本校では1〜6年までの縦割り班で給食を食べている。
 台拭きの仕事を食べる前にする際は、12台ある長机を一人で拭く。
 しかし、食べた後の台拭きを「面倒臭い」とやろうしない。
 片付けの際は、3台だけでよいため、できるようにさせたい。
・文字を書いたり、絵を描いたりするとき、姿勢が乱れる。
 椅子の端に座ったり、足が床についていなかったりする。
 いくら直しても、違和感のある姿勢になり、そのまま続ける。
・鉛筆で文字を書くときの「サラサラ」という音が嫌だと言い始めた。
 それが原因でなかなかやろうとしない。
 鉛筆に代わるものはあるだろうか。

・新版K式発達検査で発達年齢が4歳という結果。
■河野ドクター
まずお伝えしておきたいのは、
発達年齢が4歳と言うことは基本的に読み書きは難しい
と言うことです。
難しい課題を無理やりさせてしまっている状態です。
その年齢でできる課題にまで、程度を落としていく必要があります。

■小野先生
発達年齢が4歳というところが最も大きな問題です。

私の子どもが現在5歳です。
すべてできません。
無理です。
発達年齢以上の課題です。
これができているということは、年齢を誤魔化していることになってしまいます。
発達年齢が出ているというのはそういうことなのです。

・本校では1〜6年までの縦割り班で給食を食べている。
 台拭きの仕事を食べる前にする際は、12台ある長机を一人で拭く。
 しかし、食べた後の台拭きを「面倒臭い」とやろうしない。
 片付けの際は、3台だけでよいため、できるようにさせたい。
■河野ドクター
食べる前にやるが、食べた後にやらない、というのは、誰しもそうではないでしょうか。
食べるという一番のご褒美があるのですから。
それは一生懸命やります。
しかし、食べ終わったら、遊びに行ったり、別の目標を立てたりします。
そうなると、モチベーションが変化するのは当然です。
ましてや、4歳の力であれば、12台拭いただけで素晴らしいということです。
3台しか、と言うお話ですが、完璧を求めすぎる必要はありません。

■小野先生
台拭きは、通常学級で1年生5月でしたら先生がやります。
食器が落ちるから危ない。
散らかる。
服につく。
クレームのもと、のような感じです。
「先生くらい上手になったらやらせてあげるけどなー」と言いながら、しばらくやらせないです。

・文字を書いたり、絵を描いたりするとき、描くことに必死で姿勢が乱れる。
 椅子の端に座ったり、足が床についていなかったりする。
 いくら直してあげても、違和感のある姿勢になり、そのまま書き続ける。
■河野ドクター
足をブラブラする集中力の問題。
これも4歳児と考えればだいぶ違います。
ただ、「ふみおくん」という教具があります。
これに足をかけられます。
椅子や机で使うものです。
ブラブラすると言うのは自己刺激なので、これを使うと安定します。

私のクリニックに来ている保育士さんが、自分の子どもにとってよかった。
なので、保育所でも使いたいと持ち帰りました。
なんと2歳児のクラスでみんな座れるようになったとのことでした。
しかも、落ち着いていろいろなことができるようになったそうです。

魔法のように、競うように、これがついている椅子に座りたがる状態になりました。
この椅子は気持ちがいいと話すそうです。

小さい頃はみんな感覚刺激が欲しいのです。
それが少しずつ薄れていきます。
小学校などでこれが大きく残っている場合、発達で課題があるかなと考えられるわけです。

どの発達段階のお子さんにとっても、満たすということは脳の発達にはよいと言えます。

・鉛筆で文字を書くときの「サラサラ」という音が嫌だと言い始めた。
 それが原因でなかなかやろうとしない。
 鉛筆に代わるものはあるだろうか。
■河野ドクター
サラサラという音に関してですが、これは「あるある話」です。
私だったら4Bや6Bの鉛筆を使ってみます。
これらの鉛筆は練られているので、炭のような書き味で音がしなくなります。

カリカリ、サラサラという紙に引っかかる感覚。
音が引っかかっているのか、手の感触が引っかかっているのかのいずれかだと思いますので、試してみてはいかがでしょうか。

その場合に気をつけなくてはいけないのは、消しゴムを使うと真っ黒になります。
ですから、消しゴムの使い方などを指導する必要は出てきます。

■小野先生
私でしたら6Bとかをたくさん用意しておきます。
これだと柔らかすぎるお子さんもいるので、4Bなども用意しておきます。

削りすぎも良くないので、若干先が丸くなっている状態で試します。
ご自身で試してみるといいです。

消しゴムも自分で用意しておきます。
小さいものよりも大きいものがいいです。
やり方を教えても、すぐ千切ってしまうので、そういう準備をします。

お絵描きをさせてみて「サラサラ」について子どもが言わなければ、課題に問題がある場合があります。
お絵描きでもサラサラと音は出ます。
それでも言わないということは課題の問題だからです。

自分が嫌だとか、やりたくないことだと、感じ方が大きくなります。

その時に、お絵かきの時は言わないのに、言葉を書くときは言ってずるい、と言わないでくださいね。
嫌なときは過敏さが上がります。

難しいんだなと、教師が思えたら対策ができます。
薄く書いてあげてなぞらせるとか、手を持って一緒に書いてみようかとやってあげる。
そういう支援は必要かなと思います。

担任の先生は主観で見てしまうので、それ以外の保育園の先生などからの見取りを聞いて、支援計画や指導計画を立て直したらよいかと思います。

※内容の全部、もしくは一部の無断転載を禁止します。
※本記事の内容は「K’s club サロン」の一部です。お子さんの発達や障がいなどについて、さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

〈ドクター〉
河野政樹(虹の子どもクリニック院長)
〈特別支援教育専門家〉
小野隆行(株式会社イージスグループ代表取締役)

〈引用〉
K’s club サロン
https://hikarinoniji.supersale.jp/about#mainabtkuMDE1Mj
K’s club サロン:発達障がい関連グッズ
https://hikarinoniji.supersale.jp/categories/3084689#mainidxkyLjg4Mz

https://hikarinoniji.supersale.jp/categories/3084689#mainidxkyLjg4Mz

関連記事一覧