パソコン・ゲームを途中でやめられない。ルールを守れない子。

パソコン・ゲームを途中でやめられない。ルールを守れない子。

 

「K’s club サロン」は、発達外来クリニック医院長・小児科医である河野政樹ドクターと特別支援教育のスペシャリストである小野隆行先生によるQ&Aが発信されるオンラインサロンです。
サロン内では皆さんからドクターに質問することも可能です。
本ページでは、K’s club サロンでの質問と回答を一部紹介します。

今回の質問は、下記のものです。

小3 男子
診断はないが、こだわりが強く、集団行動が苦手。学力は高いです。1人1台端末が配布され、雨の日や、暑くて外で遊べない日は、休み時間も端末を使うことを許可しています。内容は、キーボード練習や、クラスルームに配布した学習ゲームと係活動で使う時のみ、とルールを決めています。
この子は、休み時間に勝手に他のゲームサイトに行き、何度話しても止められません。また、授業が始まっても、なかなかパソコンを止めることができず、続けてしまいます。キリの良いところもあるだろうからとか、あまり授業中に注意しすぎても、と軽く注意しつつ授業を進めています。個人的にも、クラス全体にもパソコンの配布された意味などを繰り返し話しています。この子にどのように指導したらよいでしょうか。

□河野ドクター
ルールが守れないという段階で、ゲーム依存やネット依存の可能性がかなり高いです。家での状態にもよりますが、指示が守れなくなっていたり、ルールを守れないで日常のやるべきことができない、という状態は典型的なゲーム依存です。最近、ゲーム依存の子がたくさんクリニックに来ます。親御さんからは、「この子は絶対やめられません」とか、「ちょっと(やめさせるのは)無理です」などよく言われます。

そんな中、私が気付いたことは、ゲーム依存や動画視聴が長いお子さんは、小脳機能が弱っている子が多いということ。簡単なテストがあり、手をぶらぶらっと振ってみます。回内回外運動というのですが、これができないのです。ゆっくりしか動かせなかったり、左は回るのに右は回らなかったり、といったことになっています。
そのような状態にあることを本人が認識すると、大変なことが脳に起きていることを理解してくれます。それをきっかけにゲームをやめたり、時間を短縮できたりすることにつながります。

今、自分の中で起きていることが分からないことがゲーム依存の恐ろしいところです。最近の研究結果では、ゲームやスマホ動画を長い時間視聴すると、脳の一部分の血流が悪くなったり、容積が小さくなる障がいが起きることがわかってきています。それと直接関係あるかどうかは定かではないですが、実際にゲームをやめて1・2カ月後に回内回外運動をにやらせると、結構早くできるようになっていることが多いです。

ただ「ゲームをやめなさい」と言うよりも、「手をぶらぶらやってみてやって」と言ってみる。そこでうまく動かせなかったら「ほら、やり過だね」と言える。
「しばらくお昼のパソコン・ゲームは一旦中断です。手が回るようになったら許可します」のような目で見てわかる、かつ本人自身が納得できる方法での指導が良いと思います。

※内容の全部、もしくは一部の無断転載を禁止します。
※本記事の内容は「K’s club サロン」の一部です。お子さんの発達や障がいなどについて、さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

 

〈ドクター〉
河野政樹(虹の子どもクリニック院長)

〈引用〉
K’s club サロン
K’s club サロン:発達障がい関連グッズ


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