聴覚過敏の子の支援について

聴覚過敏の子の支援について

 

「K’s club サロン」は、発達外来クリニック医院長・小児科医である河野政樹ドクターと特別支援教育のスペシャリストである小野隆行先生によるQ&Aが発信されるオンラインサロンです。
サロン内では皆さんからドクターに質問することも可能です。
本ページでは、K’s club サロンでの質問と回答を一部紹介します。

今回の質問は、下記のものです。

4歳 男子
超未熟児で生まれました。発達停滞があり、自閉的傾向があります。最近は2語文3語文を話せるようになり、ゆっくりではありますが成長しています。もともと耳が良く、童謡などの吸収も早かったです。しかし最近、お友達が喜んだりする声や、手のひらをパンパン叩く音に対して、耳を指で塞いで「うるさい」「やめて」と言うことが多くなりました。
過敏がこれからも増していくのでしょうか。また聴覚過敏の子どもに対して、気を付けたい支援の方法などありましたら知りたいです。

□河野ドクター
4歳児で2語文3語文がやっとできているということは、IQにすると50から60の間という値が想定されます。そうなると発達段階がまだゆっくりの状況。その中で聴覚過敏があるということですね。

聴覚過敏の症状は、将来的には軽くなっていく場合が多いです。そしてお薬を使っても、症状は多少軽くなります。

小さい子で聴覚過敏のある子は、かえって大きな音や声を自分から出すことがあります。歌を歌っているから機嫌が良いと思われていても、実は外の音を消している可能性があるのです。だから必ずしも機嫌がいいわけではないということを知っておいていただきたいです。童謡が得意というのも、自分の声で周りの音を消しているのではないでしょうか。
そういった行動はノイズキャンセリングの役割を果たしていることになるので、止めさせないことが大切です。

そして他の子が大きな声を出したり、どんどんと音を出す時間帯は、別行動をとらせるか、その音の管理をしていただくことが必要です。聴覚過敏の子にとって、ざわざわしている環境は非常に落ち着かないのです。加えて大きな広間や反響するような場所は避けていただきたいです。
また、他の子が落ち着いた状態や、静かに作業している状態になったら、別行動から戻すなどの工夫が必要です。

小さい子にイヤーマフや耳栓をつけることはかなかなか難しいですが、使えるようだったら使っていただきたいです。他にも、歌手の人がよく耳にはめているイヤーモールドというものもあります。イヤーモールドは耳の形に合わせてオーダーメイドするもので、値段が高いです。成長期の子に使うには少し難しいですが、体の成長がある程度止まる小学校中学年以降にはよいかもしれません。それまでは本人が選んだ色や、好きな形のものでイヤーマフを使ってもらう。

それらを踏まえると、今回のパターンは周りの環境から整備をし、配慮していただくのがベストではないでしょうか。

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※本記事の内容は「K’s club サロン」の一部です。お子さんの発達や障がいなどについて、さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

 

〈ドクター〉
河野政樹(虹の子どもクリニック院長)

〈引用〉
K’s club サロン
K’s club サロン:発達障がい関連グッズ


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