大学生が勤続年数35年の障がい者雇用の秘密に迫りました!後編

前編では、他の会社と何が違うのか、どのようにして35年働き続ける事が出来たのか…について書きました。後編では、今と未来の障がい者雇用の問題点について深堀していこうと思います!

では早速。障がい者雇用における「問題点」とは何なのだろうか…

よく世間で言われているのは、職場のバリアフリー化や仕事の割り振り、フォロー体制などを整えることや、周りの同僚のバイアスを取り除く研修など、従来の業務にプラスでしなければいけないことが増えるという点などが挙げられています。また、障がい者を雇用するイメージやノウハウがないこと、採用時に適正・能力を把握できるかなど、情報と理解不足も挙げられるでしょう。
しかし、前編を読んでくださった方ならお気づきかもしれませんが、エフピコダックスにとって、これは問題点ではないのです。それらのことを全て当たり前のこととして会社に組み込んでいます。では、本当の問題点は何なのだろうか。統括部長さんはこう話してくれました。「世代交代です」世代交代?どういうことなのだろう?詳しく話を伺いました。
「世代交代が問題です。たしかに僕たちがいる間は何も問題はありません。しかし、当初からがむしゃらに彼らと働いてここまできましたが、私たちも歳を重ね、これから定年を迎える方たちも増え始めます。そのため、障がい者雇用を次の世代に託すしかありません。しかし、彼らは僕たちの経験を実体験としては知りません。そのため管理者として、障がい者と共に働く人として育ち切っていないのです。
例えば、業務中に機械に問題があれば機械を止め修理をする。そのようなマニュアルのあるものは対処できるかもいれません。しかし、障がいのある人と働く時のスタンスや、彼らへの教育の方法を間違ってしまうと、長く濃く良い障がい者雇用は頓挫してします。
「教育はまず教育者の教育から」
統括部長さんはこう仰いました。昔に比べて今は考えないといけないことも増えてきています。それぞれの能力と個性を見ないといけない…全体教育したものを各自が遂行できるように個人教育しないといけない…保護者の安心も得ないといけない…合理的な配慮も然り。考える事はたくさんあります。
エフピコダックスの今の若い世代の健常者は、障がいのある社員に目的地を教えるだけで、自分が先にその目的地で待っているという教育をしている人が多い。「指導と支援」をしなければいけない。この2つは似ているようで違う。指導とは目的地を指し示し、全体の一番前に居ないといけない。支援とは目的地へみんなが行くために一番後ろに居ないといけない。一番前と一番後ろ。エフピコダックスはその両方ができないといけない。と、統括部長さんは言います。難しいかもしれないし見返りはないかもしれない。しかし関わった障がいのある社員が成長するといずれその意味に気付くはずだと。
「彼らが成長する喜びを知らず、今の立場になった人には教育はできない」
そのために私たちは、今成長する喜びを知ってもらおうと下の世代の教育をしている所なんです。それが結果的に障がい者雇用の世代交代の問題を解決すると思います。と話してくれました。
他の会社からは数歩先に進んだ会社が考える問題点と解決策。聞くだけだともしかしたら簡単に聞こえるかもしれない。他にも方法はたくさんあるだろう。しかし、この問題点を問題と言えるエフピコダックスからは、長い歴史とその現場で、がむしゃらに試行錯誤し頑張ってきたこその真実味と本物、そして温かみを感じた。
たくさんの会社の障がい者雇用の前提である「情報と理解がないとできない」「配慮が必要」「無理をさせられない」「障がい者が出来るだけのことしかさせられない」を、「彼らと共に働き利益をあげる」「苦楽を共にする」「一緒に成長する」そんな当たり前の前提に置き換えてみることが最初の1歩なのだろうと感じました。

今回、取材に応じてくれたエフピコダックス千葉工場さん、統括部長さん、貴重なお時間を提供してくださり本当にありがとうございました!

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