暴力や暴言のある子に、お薬の効果が見られない

暴力や暴言のある子に、お薬の効果が見られない

 

「K’s club サロン」は、発達外来クリニック医院長・小児科医である河野政樹ドクターと特別支援教育のスペシャリストである小野隆行先生によるQ&Aが発信されるオンラインサロンです。
サロン内では皆さんからドクターに質問することも可能です。
本ページでは、K’s club サロンでの質問と回答を一部紹介します。

今回の質問は、下記のものです。

小学校3年生 男子
思い通りにならないと校外への飛び出しや、特定の児童への暴力暴言があります。
ADHDと診断されてインチュニブを3週間服用したが、効果が見られず、リスペリドンに変更して2週間が経ちました。しかし、他児童への暴力暴言が減らず・・・(中略)お薬が合っているのか合っていないのかは、いつ、何を基準にすれば良いですか?支援の仕方についてもアドバイスをお願いします。

□河野ドクター
まず一般的に、お薬を使って効果が顕著に現れるのは、幼児さんが多いです。
幼児さんは、発達期にあるということもあり、1ヶ月2ヶ月程度で効果が出ます。
幼児さんは、どちらかというと、まだこじれる前の子が大半ですよね。

また、NLP(神経言語プログラミング)という考え方があります。その中に、アンカリング(条件付け)というものがあります。今回のケースでは、例えば先生の顔を見ただけで興奮してしまったり、特定の児童を見ただけでムカムカしてくる、といったアンカーが条件反射的に成立しています。お薬以上にそのアンカーが強いため、お薬の効果が見られないかのように思われているのではないか、と考えられます。これは割とよくある事例です。

お薬の効果が出てくるか出てこないかより前に、まずどういう時に調子がいいのか、どうしたら特定児童の前でも落ち着いているのか、ということを見た方が良いです。その落ち着いているときに、どういう対応をしているのか。よくパニックになったとか飛び出した時どうしたらいいか、という質問をいただきます。ですが、それはどうしようもないのです。暴れている人をどうしたらいいですか、という質問には、暴れないようにすることです、という答えになるように、既に暴れさせている段階で、もう半分問題ありです。ですから、まずは良い時はないのかということを聞きたい。毎回そうなのか、毎日毎時間、もう一秒たりとも空かずに暴れているのか。それとも調子のいい時もあるのか、その時はその時にどう対応しているのか。よくあるのは、調子のいい時はスルー、しかし何か起きた時にはみんな集まってくるといった例。避難訓練的な対応が多いです。

私が勧めているのは、普段から褒めておくこと。そして本人が「聞く耳」を持つようにする。ずっと叱ったり怒ったりしていると「聞かない耳」になりますが、褒め続けていると「聞く耳」になっていきます。「聞かない耳」になっている子はお薬を飲んでも効かない。それは薬が効くか効かないかではなくて、関わっている先生方や親御さんたちが、そもそも「聞く耳」にしているか「聞かない耳」にしているかの方が大きいです。
ですから、まずは「聞く耳」づくりからしてみるのはいかがでしょうか。

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※本記事の内容は「K’s club サロン」の一部です。お子さんの発達や障がいなどについて、さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

 

〈ドクター〉
河野政樹(虹の子どもクリニック院長)

〈引用〉
K’s club サロン
K’s club サロン:発達障がい関連グッズ


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