文字を書く、文字を打つ、文字を言う
「あ、時代が変わってきている」とびっくりしたことがありました。もう文字は「言って」入力する時代になりつつあるようです。
小学校の頃は、文字を書いていました。ノートへも、 作文用紙へも、教科書への書き込みも、全部鉛筆赤鉛筆を使って書いていました。
中学校に進学しても、変わりませんでした。鉛筆がシャープペンシルになって、削る必要はなくなったけれども、やっぱり書いていました。
高校でも一緒。
変わったのは大学からです。文字を打ち始めました。年齢がはっきりわかりそうですが、私の場合はここでポケベルを導入。 公衆電話で11と入力すると「あ」、21と入力すると「か」のように文字を打ち始めました。
時代が進んで、PHSや携帯電話になっていくと、 直接文字を打つようになりました。パソコンを使い始めたのもこの頃です。書くのよりも、とても楽なことをすぐに感じました。これは便利だなと思ったのは、文章の入れ替えです。ABCと書いていたのを入れ替えてCBAのようにしても、その文章を切り取って米に入れていけばよいだけです。文章を書くのが、とても楽になりました。
社会人になって、文章を書く量が増えてくると、打つ文字の量が増えてきました。タイピングのスピードあげたら、もっと早く仕事が終わるようになるなと感じて練習をしました。すごく頑張れば会議の議事録などを大まかに文字にすることができるようになりました。この文字を打つということを、20年ぐらい続けてきました。
先日、スタッフにテープ起こしをお願いしました。30分ほどの映像から文字を拾ってテキストにすると言う作業です。そういう作業を初めてすると言うスタッフだったので、半日ぐらいはかかるかなと思っていました。「集中できるところでやってきます」と彼は事務所を出て行きました。1時間ほど経って、彼が戻ってきたので、「しんどいでしょう」と声をかけると、「あらかた終わったので、これから誤字脱字を直していきます」と返されました。見てみると、本当にあらかたの作業が終わっています。A4用紙に7枚。きっちりと文字が入力されています。
「どうしたらこんなに早くできるの?」と聞くと、「音声入力ですよ。映像で流れている音声をそのまま僕が復唱して、文字にしたんです」と教えてくれました。「考えないで、ただ文字を繰り返すだけだったので思ったよりも早くできました」と説明してくれたのですが、驚きのあまり声も出ないくらいでした。
「試してみてください」と言われて、やってみると本当に便利です。普通に喋っているだけで、それがそのまま文字になっていきます。誤字脱字はゼロではありませんが、それも文脈に合わせて自動で修正されていったりします。この文章全体を通しての誤字脱字は5カ所でした。
文字を書くこと自体は楽ならないと思います。打つことも多分なくなりません。それと同時に、これだけ便利になったら音声入力もよりたくさん使われるようになるのだろうなと思います。どの場面で、誰が、どんな方法で、文字を記録にするのか。ゴール地点は同じですので、その過程は様々あっても良いと思います。こうした選択肢が増えると、より便利になっていくんだろうなと思いました。