会話は成立しないのだけれど、優しさや暖かさは伝わる
大学時代、奈良に住んでいました。
当時、友だちが先輩から車をもらい、その記念に鳥取へドライブ。
男3人で夜中から走り始めました。
今から思うとすごく無駄です。
旅行準備もせず、ガソリン代も3人合わせてやっとくらい。
高速に乗らず、ただ下道を夜通し走ります。
でも、その時はなんだか無性に楽しくて、疲れも感じず、交代しながら走り続けました。
朝、鳥取駅に到着。
少し頭をひねれば、砂丘とか、因幡の白兎に関係した場所とか、観光地もあっただろうになぜか駅。
さすがに疲れたので、みんなで朝風呂をしようと銭湯へ。
駅で聞いて、地図をもらって行きました。
(記事を書くために調べたら源泉掛け流しの日乃丸温泉というところだったよう…ちゃんと温泉です…)
ダラダラとしゃべりながら湯船に浸かっていたら、地元のおじさんが話しかけてきました。
のぼせるまで話していたのですが、話の内容はほとんど覚えていません。
その中で1つだけ覚えている話があります。
「そういうバカなことやって笑える地位も金も絡まない友だちは若いうちにしか作れない。大切にな」
社会人になってからたくさんの友だちが増えました。
年齢的に、先輩の方も、同年代の方も、後輩の方も。
ご一緒している時は心から楽しんでいます。
それでも、あの頃の友だちとは少しニュアンスが違います。
今、鳥取に行った2人とは数年に一度の付き合い。
それでも、会う時は、毎回、時を忘れて話をします。
何年経っていても、戻るのは一瞬です。
こんなことをふと思い出していたら、そういう風に思ってくれている人がいるなと思いました。
何回か通う知的障がい者が働く施設の男性。
もう30歳になる方。
毎回にこにこと「あー、越智さーん」と声をかけてくれる。
「こんにちは…」と話しかけてくれた後は、なかなか会話は成立しないのだけれど、優しさや暖かさは伝わる。
彼にとっての周りの人は全員、そういう友だちなのかもしれない。