衝動的に動いてしまう子への対応
衝動的に動いてしまう子への対応
「K’s club サロン」は、発達外来クリニック医院長・小児科医である河野政樹ドクターと特別支援教育のスペシャリストである小野隆行先生によるQ&Aが発信されるオンラインサロンです。
サロン内では皆さんからドクターに質問することも可能です。
本ページでは、K’s club サロンでの質問と回答を一部紹介します。
今回の質問は、下記のものです。
衝動的に動いてしまう子への対応
□質問
一年通常学級の担任をしています。自閉症情緒学級のA子が、図工、体育、音楽、生活で交流に来ています。
A子は自閉症スペクトラムで知的にはとても賢く人懐っこいですが、好きではないことに対して根気がありません。交流には基本的には付き添いがつきますが、担任ではない先生の言うことは聞ききません。図工のハサミや、体育でできないことがあると泣き叫んで作品を破ったり、予測不可能な動きで衝動的に動いたり、当たり屋のように誰かにぶつかって被害者ぶりっこをしたりして危険です。
どうしようもない時は教室に戻しますが、どのように対応したらよいかを教えていただきたいです。
□河野ドクター
ある程度、特別支援学級から交流でやってくるこの子のパターンをこの先生はもう既に知っていると言う事ですね。何が苦手かとか、どういう場面でパニックになるのかと言うふうに知っているわけですよね。そしたら同じことを繰り返さないほうがいいですね。
だから先手をうたないと、そうなってからじゃあもう遅い。そうなってしまったらもう教室に戻すしかないから、早く戻したほうがいいです。そこで粘らず。最初に交流に来る前にそういう約束もしておいたほうがいいです。そういうふうに何かワーってなって、落ち着いて授業を座って受けられなくなったら、すぐに教室に戻りますという約束はちゃんとしておきましょう。
それからそういう苦手なことをやるということは、やると思った瞬間に過去の記憶がこの子達にはしっかりあるのでもう既に嫌な雰囲気になっているわけです。嫌なモード満載。
その中でやっぱりできなかったやっぱり無理みたいになってくるので、その場合はやっぱり褒め褒め作戦しかない。
最初に「今日は違うね。」って「今日の〇〇ちゃんは全然違っているよ。」のような。「まず姿勢が違っているしさ。」「ハサミの持ちかたが全然違う。」とか。散々言って、今日の〇〇ちゃんは全然違う素敵すばらしい!といった感じにしておいて、それでちょっとやったらすぐ褒める。
それで難しいことが起きたら、「ちょっとここは先生が切ってみてもいい?」などと言って、そこは補助の先生か担任の先生が切る。こんなふうにやったらいいんだよって言いながら、また簡単なとこ切らせる。
そう言う風な戦略的な関わりかたをしていく必要があって、難しいことを無理矢理やらせる必要は全くないのですよ、交流学級では。だから本人ができることだけさせて、できないことは基本的にさせない。記憶は上書き保存だから、本人がハサミに対しての違和感、過去の嫌な記憶などを、ハサミを楽しくできたと言う体験にまず変えたほうがいいのではないかなというふうに思います。
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※本記事の内容は「K’s club サロン」の一部です。お子さんの発達や障がいなどについて、さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
〈ドクター〉
河野政樹(虹の子どもクリニック院長)