自傷行為を繰り返す子、先生としてどう寄り添えばいい?

自傷行為を繰り返す子、先生としてどう寄り添えばいい?

 

「K’s club サロン」は、発達外来クリニック医院長・小児科医である河野政樹ドクターと特別支援教育のスペシャリストである小野隆行先生によるQ&Aが発信されるオンラインサロンです。
サロン内では皆さんからドクターに質問することも可能です。
本ページでは、K’s club サロンでの質問と回答を一部紹介します。

今回の質問は、下記のものです。

高1 女子
浅い自傷行為を繰り返しています。話はよくしてくれて、その中で家庭での居場所がないと感じているようでした。しかし、親には心配をかけたくないと、家庭連絡を拒否しています。
浅い自傷からいきなり深い傷や自殺に至る行為に行く兆しとして、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?

□河野先生

高校生ぐらいの女性で、家庭に居場所を見つけられない子はかなり多いです。大人になる時期ですし、親としたら抑えつけたい気持ちもある。そういう中で会話をしたり、コミュニケーションをとることは、なかなか難しいことです。

ただ、救いとしては先生と話ができていること。そういった居場所があるということがとても大切です。その居場所を守ってあげる、ということが一番にすべき点です。

親との連携を取るためには、リストカットしている事実を親に伝えなければなりません。そうなると、本人に「これは重大なことだから、親御さんと一緒に話し合わないといけない」ということを、どこかのタイミングで出さないといけません。本人と話した上で、親御さんには浅い自傷であっても将来的にもっと大変なことにつながる可能性もあるということ、気分が落ち込んだり、不安定になったりした時に自傷行為を起こしやすいこと、そして何かしらのサポートが必要であるということを伝える必要があります。

ただ、本人がすごく拒否していたり、親子関係が非常に悪い場合には、居場所を失ってしまう可能性があります。ここはとても悩むポイントです。今の場所を守っていくことを優先するとなると、これから自殺などにつながったらどうしようと考えてしまいます。

そういう時、先生だけでなく、他に一緒に話を聞いてくれる人を見つけることが大切です。一人で話を聞くよりも、複数で話を聞くことは効果的です。また、管理職とは相談内容や事実を共有しておく必要があります。そうすることが自分自身を守ることになりますし、後ろ盾にもなります。

自傷行為から自殺につながっていく兆候としては、具体的な死に方を考えているということがあります。何階以上から飛び降りたら死ねるか考えていたり、自殺マニュアルを持っていたり。また、リストカット以外のことをし始めることも一つの兆候です。例えば、薬をたくさん飲んだりするなどの別の行動に移った時は、自殺の確率が高くなります。そうなってしまうと、保護者も呼んで話をしなければなりません。

死なない約束というのは案外効きます。「先生はあなたに生きておいてほしいし、あなたと一緒にお話をしたり、人生を歩んでいきたいと思っているから、死なない約束をしたい」と。それが約束できないんだったら、先生としてはお医者さんにかかったり、誰かのサポートが必要であるということを生徒にはっきり伝えてください。

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※本記事の内容は「K’s club サロン」の一部です。お子さんの発達や障がいなどについて、さらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。

 

〈ドクター〉
河野政樹(虹の子どもクリニック院長)

〈引用〉
K’s club サロン
K’s club サロン:発達障がい関連グッズ


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