「若手がうまく動かなくて困る」なんて相談
「若手がうまく動かなくて困る」なんて相談をもらった。
あるあるだなぁ、と思って聞いていた。
おおむね、次のような話だった。
新人さん。
その業種(教育関連)は初めて。
どのように子どもたちに接したらよいかわからない様子。
感覚だけでやっているように見える。
周りから見るとうまく回っていない。
見かねて声をかけるが、強気な態度で「できる」と言って聞かない。
こっちの方がよいよと伝えてもやらない。
ついには指導担当がキレてしまい降りてしまった。
自分が二番手の指導担当として入ったが、どうも同じ形になってしまいそうで不安だ。
どうしたものか。
う〜ん。
そのペースだと、すぐに辞めてしまいそう。
教えても全然できないでしょ?と聞く。
全くできないと。
なのに、失敗ばかりでしょ?と聞く。
そうなんですと。
いろいろ試そうとして空回りしてるでしょ?と聞く。
よくわかりますねーと言われた。
だって、あるあるだもの。
ボクが指導担当を初めてすることになった時にセンパイから教えてもらったことをそのまま伝えた。
それね、若い人はみんなそう。
やる気があるから空回り。
教えられても、その話自体の理解ができないからどうにもできない。
理解できてないことを言われるものだから、試してもグチャグチャになって失敗ばかり。
だから教えなきゃいいんだよ。
そんなことよりも、その若い人と人間関係を作っておくことの方が何倍も大切。
本当に必要になったら、自分から聞いてくるよ。
その時に「よく聞いてくれたね」と言って、話そうと思ったことの1/10くらいを伝えてあげる。
そしたら、向こうも理解できるから。
たくさん話しちゃダメだよ。
小学生の頃、校長先生が「5つの話をします」って言ってても覚えてなかったでしょ。
1つで充分。
ここまで言ったら「でも、ヤバいんですよ」と…。
で、続けた。
今10年目だっけ?
立派なプロだよ。
プロだからできる方法を山ほど知ってる。
意識してなくてもね。
で、たとえ話なんだけど。
少年野球でいきなりプロの投げ方は教えないよね。
お花の活け方でいきなり免許皆伝のことも教えない。
料理でいきなり三つ星レストランの調理法も教えない。
それよりもバットにボールが当たったら楽しいな。
お花って活けるともっとキレイになるな。
自分で作ったご飯で家族が喜んでくれたらうれしいな。
そういうことの方がずっと大切。
プロの方法をいきなり初心者に伝えたらデメリットの方が多いんだよ。
自分だって、始めからうまくいかなかったでしょ。
技術も経験もない。
だけどガムシャラだった。
今があるということは、それを見守ってくれてた誰かがいる。
知らないかもしれないけれど、誰かが失敗を被って、守ってくれて、今がある。
だから、明日会ったら、できていないとか、ゴチャゴチャしたのを抜きにして「おはよう」って言ってあげて。
教えるって難しい。
教えられるのも難しい。
これに子どもたちや保護者、同僚や先輩が絡むから尚更だ。
「今日からプロです」
「あなたはプロでしょ」
と言われる。
もちろん気持ちはそうだけど、技術はとても追い付いてはいない。
そういうのも全部含めて、一人一人が自分自身の「あの頃」を思い出したら、少し楽になるのかもしれないな。