発達障がいがある小中学生を対象に家庭教師をする先生
今回は、LDなどの発達障がいがある小中学生を対象に家庭教師をする先生に質問をお伺いしました。
①どのようなお子さんを対象にしていますか?
ADHDやSD、LDなど、様々な発達障がいがあるお子さんを対象として家庭教師をしています。
小学校中学年以降から高校生までを現在ではお預かりしています。
②教えている教科は何が多いですか?
算数と国語が多いですが、社会などの教科も教えています。
③算数や数学等ではどのように教えていますか?
子どもたちは聞いているだけだと難しい場合が多いです。また、見ているだけというのも学習としては進めにくいケースが多いです。
そこで私はできるだけ説明をせずに、彼らに問題を解いてもらうことをポイントとして行っています。
例えば、中学校1年生の「移項」の学習では、=の左から右に移行するときに、+が−になったり、−が+になったりします。なぜそそうなるかの理屈を説明するのではなく、まずはそういうルールなのだということを伝え、実際に問題を解いてもらいます。まずは+αを移項すると−αになる。次に+βを移項すると−βになる。次に+α+βを移項すると−α−βになる。少しずつ記号や数値を入れ替えながら、実際に問題を解かせていく。まずはルール自体を理解させていきます。
④説明をするよりも、実際に問題を解かせたほうがうまくいきやすいのですか?
そういったケースばかりではありません。しかし、それが通じやすいケースの方が多いです。
例えば、幼児期の自転車乗りの練習が挙げられます。自転車がなぜ倒れないのかを説明されるよりも、実際にどうしたら倒れず漕ぐことができるのかを練習したほうが早く乗れるようになります。説明して理屈を理解させようと思ってできることではありません。分かってからできるようになるのではなく、できてから分かるようになっていく。
学習でも全く同じことが言えますので、この応用の中で学習を進めています。
⑤社会などの知識を覚えなければいけない教科では、このような方法が使えないと思うのですが、いかがでしょうか?
確かにその通りです。知識を覚えなければいけない教科では、暗記をしていくのではなく、興味関心を高める、という形で学習を進めています。例えば、社会では、地名と特産物を覚える学習があります。そういった学習では、地図を使った地名探しのような学習からスタートしていきます。
・漢数字の一から九が入っている地名をそれぞれ探していきなさい。
・新幹線の駅がない都道府県と、新幹線の線路が通っていない都道府県を探しなさい。
・日本で2番目に高い山を探しなさい。
こうしたことで地図そのものに興味を持たせていき、地名と特産物の接続を図っていく。まずは好きになってもらうことを重要視して学習を進めています。
⑥そのような指導しても興味が持てない子どもたちもいるかと思います。そのような場合にはどのようにしていますか?
もちろんそれらの指導だけで学習が好きになっていく、能動的に進めていくというケースは多くありません。ですので私たちが様々な方法で、彼らが学習をまずは好きになってもらえるように、というところを重要視して家庭教師をしています。
⑦学習が好きになれない、能動的に行うことができないお子さんをお持ちの保護者の方へ伝えたい事はありますか?
勉強とは本来楽しいものです。好きなことを興味を持って調べていく、というのがもともとの勉強の本質かと思います。
それでも小学校中や学校の中で学習をしていく中で、やらなければいけない事は興味関心が高くないこともやらなければいけない、というのが実情です。ですので、やらなければいけない事はわかった上で、それに向けてどのようにしたら興味が持てるのか、というところを子どもたちに伝えてもらえたらと思います。本人が興味が持てることをどのように今の学習につなげていくのかということです。
私自身も子どもの頃は勉強があまり好きではありませんでした。そういった「好きではない」という現状も認めてあげた上で、それでも少しずつでもやっていかなければいけないことを、親がまず分かっておくこと。それが学習にとってより良い効果をもたらすのではないかと感じます。