視覚障がいの方に向けたちょっとした「合理的配慮」

健常者と視覚障がい者が参加する資格試験取得に向けたオンライン勉強会に参加しました。

講師がいて、それを受講する10名くらいの方もいます。パワーポイントの画面を見ながら、話を進めくださいます。内容は大学の講義のような内容です。法律が出てきたり、実際にありそうな場面について考えたりします。内容は少し難しいですが、初めての私でもがんばればわかるくらいの内容です。

話を聞いている中で、パワーポイントの画面がシンプルなことに気が付きました。1枚の画面の中に50文字程度の分量です。しかも、すべて①②③と箇条書きで番号がふってあります。少しずつ教えていくというような感じです。

お話の仕方もシンプルでした。まずは画面を読み上げます。タイトルを「◯◯法のポイント」のように読んで、「全部で3点あります」と全体を示してくれます。それから「1つ目は〜」と番号付きで読み上げます。

目で追えば10秒くらいで読める文量です。それでも読み上げます。読んでから、「では、実際にその中身について考えていきましょう」のように思考する場面を作っています。

視覚障がいのある方に向けた配慮かな、と思っていました。勉強会が終わってから、皆さんにインタビューする時間をいただいていたので伺ってみました。

【講師の方へ】

視覚障がいの方に向けてお話で工夫しているところはありますか?

→画面をシンプルにすることと、その読み上げをしてから内容を進めることです。Aさん(視覚障がいの方)と相談すると、聞いたことを頭の中に残したまま考えるので多くの要素があるとしんどいとのことでした。そこで、できるだけ細かく分けて、耳に残るように進めています。

他に工夫しているところはありますか?

→資料を事前に送付しています。他の皆さんには当日その場で画面でお渡しするのですが、読み上げソフトのようなものがあるそうなので、事前に内容を知っていただくようにしています。

【Aさん(視覚障がい者)】

簡単に自己紹介をしていただけますか?

→小学校3年生の時に全盲になりました。今は大学3年生なのですが、これから就職を目指すために勉強会に参加しています。

勉強会はわかりやすいですか?

→ここの(勉強会)はかなりわかりやすいです。資料の事前送付をしていただけること、読み上げてくださること、細かく内容を分けてくださること等、たくさん助けていただいています。また、月に一回、面談をしてもらっているのですが、そこでお願いした要望を取り入れてくださるのが助かっています。

そういう配慮ってちょっとしたことでできるので、他の場でもしていただけますよね?

→していただけます。でも、話し方はそれぞれ味というか個性があるので、すぐに戻ってしまいます。ここは先生もですが、他の皆さん(受講者)のお話もわかりやすいです。

【受講している皆さん】

皆さんのお話がわかりやすいということでしたが?

→(20代、男性)Aさんと一緒に勉強するようになった時に先生に「お話の始めに人の名前を入れましょう」と教えてもらいました。「先ほどのAさんの話ですが〜」、「(私は)Bです。私の意見は〜」のようにです。声だけで誰かを判定させるよりも、名乗った方がわかりやすいからとのことです。

→(20代、女性)受講している時に、自由にお話をする場面があるのですが、そこでも配慮しましょうと教えてもらいました。先生が「10分くらいで話してくださいね」と言われたら、私たちは画面を見たら10人いるから「1人1回1分ずつ」のようにわかります。そういったことを誰かが伝えることや、Aさんの順番をリードすることが必要だと教えてもらいました。

→(30代、男性)そういったサポート。Aさんのために、というよりも自分達がラクになったように思います。

【講師の方へ】

最後に一言お願いします。

→こういった合理的配慮は、誰にとっても優しいのではないかと考えています。私自身も勉強中ですが、押し売りにならず、自然にこういったことができるようになりたいです。

グループ全体で合理的配慮を考えていく。それが自然な形でできる。まだまだ、とおっしゃっていたが、その気持ち自体が大切だなと感じながら参加させていただきました。

関連記事一覧