マニュアル化できない仕事

薄いペラペラのビニール袋を何十枚も何百枚も何千枚も重ねて、圧縮し、人の体よりも大きなサイコロ状にしていく圧縮機械の写真です。ハートコープおのみちの古紙リサイクル工場の中にあります。作業をしているのは重度知的障がいのある方。

1つの工程を丸々拝見しました。一度に全部のビニールを重ねてサイコロを作っていくのではありません。少しずつ、少しずつビニールを足しながら、圧縮をしていきます。途中で形が崩れないように、写真のように紐で調整をしていきます。体重を全て乗せて、グッグッと音が鳴るように紐で圧をかけていきます。

力のいる作業だなぁと思っていたら、ハートコープの塩道社長が教えてくれました。
「力だけではないんですよ。私もやってみたのですが、まとまりません。理想通りの形になかなか仕上がらないんです。ビニールごとに厚さが少しずつ異なりますし、状態も違います。それをわかって調整をかけていかないと良い形になりません。実はマニュアル化しようとしたのですが、その『調整』の部分が言葉にできませんでした。難しい仕事です。」

作業をしている彼は、すごく記憶力がいい。数ヶ月前に取材に同行した大学生のことも覚えていた。「今日はタツキさんはいないんですか?」と。そんな彼だからこそ、今までの蓄積を元にした仕事ができるのかなと思いました。

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