鈴木一郎という一人の野球選手
笑われてもイップスになっても実力でねじ伏せた生きる伝説、鈴木一郎
彼は野球に対する異常なこだわりからASDであると言われている。
三歳の時に初めてバッドを持つとその日から一緒に寝る程野球に夢中になった。小学生の時は365日中、360日野球の練習をし、作文には「絶対にプロ野球選手になる」と断言し、希望する球団や契約金まで具体的に記載していたそう。しかし、夜中に練習していると近所の人から「プロ野球選手にでもなるつもりか?」と嘲笑されるという過去をもつ。また、高2の春にイップスになって球を投げられなくなり、その上車にはねられたことで投手としての道が断たれ悔しくも野手に転校した。そんなイチローはプロになっても確実に結果を出すために毎日、夜中の二時までトレーニングし、結果、野手として三年連続で最優秀選手に選ばれゴールデングラブ賞を七年連続受賞した。
2000年には日本人初のメジャーリーガーとなったが、「日本に帰れ」と言われたり、ごみを投げられたりして遠いアメリカで差別を受けていた。しかし、イチローは毎日全く同じカレーを食べ、決まった銘柄の水だけを飲み20年同じバットを使いルーティンを崩さないことで最優秀新人賞、最優秀賞、首位打者、盗塁王などあらゆる賞を受賞。差別には一切文句を言わず実力だけで対抗し今では史上最高の打者と言われ彼に差別をする人はいなくなった。
そんなイチロー選手には有名なインタビューがある。記者のイチロー選手の生き様でファンに対して伝えたいことはありますか?という質問の回答である。
「生き様かどうかは分からないが、生き方という風に考えれば、人より頑張る事なんてできないんです。あくまでも秤は自分の中にある。それで自分なりに秤を使いながら自分の限界を見ながら、ちょっと超えていくという事を繰り返す。そうするといつの日か、こんな自分になっているんだっていう状態になって少しづつの積み重ねが増していく。それでしか自分を超えていけないという風に思うんです。一気に高みに行こうとすると、今の自分の状態とギャップがあり過ぎて、それは続けられないと僕は考えている。地道に進むしかない。後退もしながら自分の決めたことをやりきることが大切なんです。」
ある人から見たら野球の天才だ、何をやってもうまくいくと思う人もいるかもしれません。しかしどんなにすごい人にもその背景には様々な苦難がありそれを一歩づつ乗り超えた過去がある。この人が天才なだけで自分にはできないという”できない理由”を探すのではなく”できる理由”を見つけるのが大切なのかもしれない。