小さなコミュニケーションって結構大切

「おじいちゃん、ここまで歩いて!」
と小学校3〜4年生くらいの女の子が言っています。
お孫さんのようです。
おじいちゃんと呼ばれた方は車イス。
かなりのご高齢のように見受けられます。
40代くらいのご夫婦が、車イスに手を添えていました。
お散歩にでも来たのでしょうか。
場所は植物園の一角にある遊具コーナーです。
地面はふかふかの芝生なので、転んでも普通であればケガをしません。
でも、その方は、車イスに深々と座っている方。
転んでしまったら、大変なことになりそうです。
たまたま近くにいたので、芝生に座りながら様子を見ていました。
止めといた方がいい、という息子さん。
女の子の方をチラリと見ます。
目でそれ以上、立たせようとするな、と伝えたように見えました。
女の子の表情が堅くなりました。
時すでに遅し。
おじいちゃんはすっかりやる気です。
全力で、でも手も足も震えながら立ち上がります。
ご夫婦の旦那様が脇の下から腕を入れてサポートしています。
奥様は後ろに座り込んでも大丈夫なように車イスを少しずつ押しています。
一歩。
また一歩と前へ。
女の子は高い要求をしていたようで、半分程進んだところでおじいちゃんはストンと車イスに座られました。
すごいな、と見ていたら、女の子が「あと少し!」と追加でおねだり。
ご家族が凍りついたように見えました。
おじいちゃんは再度スタート。
先程の光景の繰り返し。
でも、今度は、女の子が示したゴールまでたどりつきました。
私だけが見ているつもりだったのですが、遊具コーナーにいた他の親御さんも何名か見ていました。
片目でご自身のお子さんを見ながら、片目でその様子を。
何となく目が合い、口には出さなかったのですが「よかった」という意志を伝え合います。
知らない方たちなのですが。
こういう小さなコミュニケーションって結構大切だなと思います。
目線を変えて、遊具コーナーに目をやります。
毎回思うのは、子どもたちって優しいな、自然だなということ。
初対面とか関係ありません。
近くにいる子が小さければ順番を待ったり、譲ったり。
同い年くらいであれば、鬼ごっこを始めていたり。
今日はダウン症かなと思う子もいたのですがら、遊具のハシゴを登りにくそうにしていたのを見た高学年くらいのお兄ちゃんが「いけるか!?」と声をかけながら背中を押していました。
すぐに離れてどこかへ行ってしまったので、多分その時、その瞬間だけの友だち。
やっぱり、こういう小さなコミュニケーションって結構大切だなと思いました。

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