大雪警報の北海道での面接

道路が麻痺、電車が運休、飛行機も欠航するほどの雪。

そんな日に、北海道での就職を目指し、京都から面接に行く男子大学生がいる。

4月に開所する放課後等デイサービスのスタートメンバーを希望している。

元々は小学校教員を目指していたが方向転換。

ご縁があった北海道で面接を受けることになったそうだ。

せっかくなので先方の企業と彼に依頼し、取材させていただいた。

到着して、レンタカー屋から教えてもらう。

「今夜から本当にすごい雪なので気を付けてください」

周りはまだ土が見えるところもちらほら。

そんなに降るようには感じない。

「どのくらい降るんですか?」

「一晩で50cmから1mくらいの予報のようです」

北海道の豪雪地帯、帯広。

一度降ったらすごそうだ。

-5℃の道路をゆっくり走る。

ナビの道は画面の端まで真っ直ぐ。

空港から1.5時間ほど走って面接場所へ到着。

車を降りると雪でくるぶしまで埋まる。

ほんの数十歩でも靴の隙間からサラサラの雪が入ってきて冷たい。

サッと建物に入る。

4月から開所予定の放課後等デイサービスの事業所。

ちょうどコピー機の設定をする業者さんが作業をしていた。

挨拶を済ませ、業者さんが帰ったところで面接開始。

一般的な面接の内容からスタート。

「地元は?」

「なぜ放課後等デイサービスを?」

「親御さんはどのように考えている?」

第三者の立場で面接を取材するというのはない経験なので、両方の一挙手一投足が興味深い。

熱意を持って回答する彼。

そこから遠方であることや北海道特有の質問に入っていく。

「帰ろうと思って帰れる距離ではないが、本当にいいのか」

「京都のように徒歩で何でも揃うわけじゃないが、それはどのように考えているか」

「ずっと関西弁を話し、聞いてきた。それがないだけでホームシックになるだろうが大丈夫か」

半ば怖がらせるような発言。

面接を見せてもらう立場からすると「覚悟の確認」なのがわかる。

でも、それは伝わるのだろうか。

完全に受け取り側の問題だ。

彼の回答。

「しんどいこともあるでしょうけど、今はワクワクの方が勝っています」

伝わった、多分。

元々は小学校教員志望の彼。

方向転換をしての放課後等デイサービス。

一度も離れたことのない京都を離れての勤務。

職業選択の自由はあるけれど、それでも一定の覚悟は必要だ。

それができているように思えた。

終わって、帰りの車で彼に質問をさせてもらった。

「面接を受けてみての感想は?」

一番すごい天候の時に来させてもらえました。

とても寒くて、雪も多いです。

雪かきもたくさんあると伺いました。

でも、できそうです。

仕事に就くこと自体が初めてで、まだ何をしたらいいかはわかりません。

でも、皆さん、いい方たちでした。

だから、できそうです。

雇ってもらえたら、ですけど。

その後の食事会で面接の担当をした方にも伺った。

「面接をしてみての感想は?」

あとは彼次第です。

他の職員とも話していたのですが、他地域での就職は違います。

北海道のど真ん中であれば尚更です。

来てみてイメージと違ったではお互いが厳しくなります。

だからあえて仕事の、生活の、北海道の、様々な面からそれを聞きました。

どちらも前向き。

あとは少し時間をおいてからの確認になるのだろう。

もし「就職」ということになったら、改めて取材させていただきたいと思う。

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